注)この話は染山のバイト風景を面白おかしく00マイスターズをキャストにして
書いているものです。ちなみに、ロックオンに体験してもらってます。

ロックオン:バイトに来たまだ新人?4月で社会人(ロックオン視点で進みます)
刹那:バイトの先輩 18歳高校生
ティエリア:キッチンのお局さん
アレルヤ:バイトの先輩。刹那の先輩でもある。
ハレルヤ:バイトの先輩。アレルヤの同期
アリー:店長





久しぶりにバイトに出た。
大学の卒論の追い込みやらなんやらで、2週間くらい出てなかったから
正直不安だった。というか、まぁ、何が不安かっていうと・・・
仕事内容よりも、キャストの対応が。

11時からのシフトのため、いつも通り10時30分には事務所に入る。
外は雪だったため、黒のタートルネックにマフラー、ミリタリーコートとがっちり着込んでいた俺は、事務所の中に入ると同時にエアコンの熱で頬がもわっと赤くなるのを感じた。10開店の8時準備なだけあって、フロアもキッチンもキャストが忙しなく働いている気配がする。・・・気まずい。
とにかく笑顔が第一。
マフラーを外しながら事務所の先、待機室の扉を気持だけは元気に引く
「おはよーございまーす」
と、同時に集まる視線と流れ出る紫煙。
思わずドアを開けた状態のまま止まり、笑顔が引きつる。
待機室の中は・・・

椅子にすわり足を組むお局さんと
「よくものこのこと顔が出せたものだな」
コーヒーカップ片手に食えない笑みを浮かべるアレルヤと
「外は寒かった?頬が赤いよロックオン」
椅子に座ったアレルヤの肩に手をつきこちらを見遣るハレルヤ
「チッ…テメェがいねぇからこっちは働き詰めだっつーの」
いつもはいないはずの店長、アリーが
「あぁ・・・久しぶりのご出勤の気分はどーだ?」

まるで待ちかまえていたかのように、煙草を吸いながら談笑していたのだった。
この4人、集まるとタチが悪い。激しく悪い。


「や、ほんと御迷惑をお掛けしました…」


こうなることはわかっていたので、素直に謝りあれこれ多くの嫌味をかいくぐって更衣室に逃げ込む。特にハレルヤあたりが「別にいいけどよぉ…?」なんていいながら、ものすごく"別によくない目"でこちらを見ていた。本心的には、卒業の為に必要なんだから仕方がないだろーが!!と叫んでやりたかったが、んな事をいったあかつきには…
----- 俺は、朝日が見れないかも知れない。

逃げ込んだ更衣室は超絶狭い空間で、大の男が二人入ったら一杯一杯になるような部屋なのだが、実は開けた先には先客がいたようで・・・

「あ」

制服である白のシェフ服を身にまとい、赤のスカーフをまこうとしている刹那がどうやら先客だったようだ。別に更衣室を一緒に使う事なんて珍しくない。ましてや男同士、別に気にすることなど何もない。
「一緒良いか?」
入っておいて良いかも何もないのだが、一応お伺いを立ててみる。
俺より少し下くらいの身長の刹那が、何か言いたそうに口を開くが
言葉が見つからないのかそのまま何も言わず、こくりと頷いた。
了承を得て服を脱ぎながら久しぶりに会った刹那を盗み見る。
・・・身長、ちょっと伸びたか?
あとなんか、身体ががっしりしたような・・・・
成長期の男ってすごいもんなんだなぁ・・・。俺もそんなだったかな…

「いつまでいられるんだ」
「は?えぇ??」

急にかけられた言葉に思わず変な声が出る。
腕を伸ばして白いシェフ服に腕を通しながら、丁度刹那と背中合わせの状態になる
いつまでいられる?それは今日のシフトのことか?それともこのバイトのことか?
脈絡のない言葉に言葉を選んでいると、刹那が答えを急かすように背中を押しつけてくる。

「…4月から社会人になるんだ、掛け持ちは無理だよ。それに、3月は研修がはいるから…多分2月いっぱい、長くて3月初週…か」

社会人になるまでの時間つぶしのために始めたバイトだ、元々3月で契約が切れることになっている。だけど、その事は刹那には言っていなかった。ただ、どこに勤めるかという事だけは話してある。俺は、この春から今通っている大学の総務に配属になることが決定している。大学教授自らに声をかけてもらった、いわば、大学自身からの引き抜きにあったのだ。

「…そうか」
「何。さっき言いたそうにしてたのってこれか?」

もごもごと何かを言おうとしていた先程の刹那の姿を思い出し、「寂しがりやだな〜」と巫山戯てつっこんでみる。が、刹那は特に反応することも無く静かに背を預けたまま。
俺はボタンを留めながら、少し会わないうちに甘えたさんになってしまった刹那に一体何があったのかと心配した。今までのこのバイト先の構図は
ティエリアがアレルヤで遊び、ハレルヤとアレルヤが刹那を時よりからかい、刹那が俺を見下しているのか良く解らないようなからかい方をし、ティエリアとアレルヤ、ハレルヤに無条件に遊ばれるのが"俺”という位置関係だったのだ。
俺が居ない間に、俺ポジションに刹那が置かれ、今まで見下していた(違)俺に言い出せないような内容をかかえてしまっているのか
そこまでに追い込まれているのか と。
真面目な刹那のことだ、遊ばれていることに耐えられなくなったとか・・・・!?

「おい刹那ぁっ オニイサンに何でも言ってみろ!?」

がばっと振り向き、そのまま刹那の肩を掴む。
我ながら突拍子のない考えだとは思うが、可能性があるのだから仕方がない。
自分の方が年上というだけあって、バイトでは新人でも人生では先輩な気でいるのだ。
多分、もしかしたら、いやほぼ確実に ものっすごく真剣な瞳をして迫っている
俺と刹那の視線が合わさる。
形の良い、男のものの唇が沈黙を破りうっすらと開かれ…


「あんたの就職先の大学に進した」



は?



「それだけだ。」




え、なにがそれだけ?
ちょ、なにがそれだけ?

まだ合わさったままの刹那の瞳に映る自分は、困惑の色が濃く
頭上にクエスチョンマークが多数浮き上がっているのがみてとれる。


「この先あんたと繋がりが続くのは、俺だけだ」



なぁ、何が言いたいんだお前。
どこか勝ち誇ったように笑う刹那を見ながら、俺はもしかしたら
さっきの4人組よりも何よりも、一番大物はこいつなんじゃないだろうかと
そう本気で思い始めていた。