注)この話はただやっているだけの オチなし イミなし ヤマなし の話です。














背徳的鎮魂歌









 じゅぷじゅぷと先走りが音を立て、溢れたそれは足の付け根を濡らしていく。
俺は、どうして今こんな事になっているのだろうか。ふとそんなことが頭をよぎる。
「も……やめ……あぁっ」
まるで女の様な声が自分の口から漏れ、射精を一度止められてぴくぴくと震える性器をいたぶるアリーへ言葉を投げる。最初に比べ全くと言っていいほど抵抗をしなくなった俺に気を良くしたのか、アリーは俺の尿道に差し込んでいた金属棒を引き抜いた。
「はぁ……んんっ……、あ、あ、ぁ」
ずるずると尿道を擦り上げながら出て行く棒に、思わず声が漏れる。うっすらと目を目を開くと、先走りに濡れたそれが、粘液が糸を引き棒から鈴口までを透明な糸で繋いでいた。当然その様子をアリーも見ているわけで。
嘲るように笑い声を漏らしたあいつは、捕食者の笑みを浮かべながら俺を見ていた。すぐにはとどめを刺さず、のたうち回る得物をいたぶり楽しむ様な。
「あーあ、こんなに漏らしちまって。感じすぎだろーが、マイスターさんよ?」
未知の快感に眉を寄せながら声を漏らしたロックオンを鼻で笑いながら、アリーは棒を注射器の時と同じように放り投げる。細く高い音が数回バウンドして響く。正直、今のような自分の姿に泣きたい気分だった。
意に反して快感を得てしまうからだ、今まで感じたこと無い快感。
この先自分がどうなってしまうのかがわからなくて、未知なる己が恐ろしくて。
どんどん鈍くなっていく己の思考能力、俺は……このまま   どうなる?










「おい、寝るのはまだ早ぇんだけど?」
浅い呼吸を繰り返し瞼を閉じていた俺の内股が叩かれ、乾いた音を立てる。瞼を完全に上げるまで何度も叩かれたせいか、そこはじんと熱を持ち、意識が一気に引き戻される。内股が赤くなっているであろう事は、見なくても良く解った。それと同時に、後孔にうめこまれたバイブに手をかけられた事が、中で少し動いたバイブで感じ取られた。
「な………に、を」
尿道責めからやっと解放されて一息ついたばかりだというのに、また別の行動を起こそうとするアリーに視線を送る。
怖い。しかし怯えを感じ取られたくなくて、なけなしのプライドが瞼を下ろさせる。
「何って、アンタが眠らないようにバイブでも動かしてやろうかとおもって」
言葉と同時にぐりっとバイブが奥へ押し込まれる。びっしりとついた突起が内壁を擦る事により起きあがる快感が、ロックオンの腰を甘く痺れさせる。先程入れられた時は痛みしか感じず、失神するかと思うほどであったというにも関わらず、だ。今は少し動かされただけで腰がうずくのだ、コレが中で動き出したらと思うと、その快感が尿道の比で無いことが容易に想像できる。
本能的に思わず身をよじり後ずさる。勿論、足を押さえていたアリーによってすぐに制されてしまったが。
「何だよ、嫌なのか?」
「当たり前だっ…絶対に……嫌、だ」
まるで駄々っ子の様な自分の物言いに対し、アリーは鼻を鳴らしバイブを前後にゆるゆると動かし始める。浅い場所を刺激され、男をくわえ込んだ事など無いというのに、奥のもっと深い部分がうねるように蠢く。
思わず腰が浮きそうになり、きつく唇を噛んで制す。だがコックリングを施された自身はクスリのせいもあって、だらだらと白濁の混じり始めた先走りを際限なく垂らした。
「あぁっ…や、だ……んぁっ、はな、せ」
「おーおー。俺にはいやらしくくわえ込んでるようにしか見えないけど。ま、いいか」
ぐちぐちと音を立ててバイブを飲み込む自身の後孔、そこから湧き上がる快感に我知らず眉が寄り、目に涙がにじむ。
ま、いいか と言った割にはアリーはしつこくバイブを前後させ、こちらの反応を楽しんでいるようだった。そして急に思案するように目を閉じると、何故かにっと口角をつり上げる。その顔はよからぬ事を思いついた子供のようでもあった。
「よし、じゃあこうだ。今から俺の言う事を一つ聞けば スイッチは入れないでやる」
一見ありがたいような申し出だが、今の状況下では最悪の言葉。進むも引くも、たぶん自分を待っているものは喜ばしいものではないに違いない。アリーの笑みが、ロックオンの背を冷えさせた。
「何を……させる気だ」
「ん?あぁ、簡単だ。……おい!連れて入れ」
初めてアリーが外に向けて声を上げる。扉を振り返るようにたアリーの視線を追うように、ロックオンも扉を見る。自分が入ってきた、無機質な扉。そのドアノブがゆっくりと時計回りに回され、そして数秒後開いたその扉の先にいたのは…



「アレ、……ルヤ」
「…ロックオン!!」


ロックオンと同じく検査用のワンピースを着せられ、後ろ手に拘束されたアレルヤが、兵士と共に立っていた。
アレルヤは、アリーに馬乗りにされている自分に気付くや否や声をあげ、兵士に腕を掴まれているというにも関わらずこちらへ寄ろうと身をよじった。何故この場面でアレルヤが呼ばれるのか、驚きに目を見開くロックオンの唇が震える。見られたくない、この姿を。今は丁度アリーが上に乗っているため影になって、自分の身体に施されている物が何も見えないが、純粋に自分を心配して声を上げたアレルヤを思うと胸が苦しくなる。
アレルヤにもやはり殴られたような痕があるものの、ぱっと見ただけでは特に問題はなさそうだ。そのことに、こんな状況ではあるが少しほっとした。それを見計らったように、アリーが身をかがめ、声を抑え
「あいつのを銜えろ。」
「なっ」
何の冗談だ。アレルヤからアリーに視線を戻すと、楽しくて仕方がないという顔。
「断ったら、スイッチだけじゃなくて…あいつにも、コンナコト、しないといけないかもなぁ?」
にぃっと、殺してやりたくなるほどの笑みを浮かべるアリー。最初から、拒否などさせる気はなかったのだ。
ガンダムの情報うんぬんよりも、今は自分たちを辱める事が楽しいに違いない。
冗談じゃないと正直思う。何で自分がこんな目にあうのだと、叫びだしたい。
けれどこれと同じ事がアレルヤの身にふりかかると思うと、自分一人なら耐えられるけれど、この屈辱をアレルヤも味わうかと思うと。
弟のように思っていた、ずっと。もうしっかりした意志をもったガンダムマイスターだという事も知っているけれど。
知らなくて良いことや、しなくて良いこと、体験しなくて良いことからは、せめて自分が守ってやりたい。
今、自分にそれが出来るのなら。
承諾の意を込めて瞼を閉じる。するとふっと、自分の足から負荷が消えた。アリーが身を引いたのだと言うことは、息を呑んだアレルヤの声と、嘲るようなアリーの笑い声でわかった。
アリーはロックオンの上から退け立ち上がり、扉に立ったアレルヤの腕を引きロックオンの傍まで連れて行く。
近づくに連れ明らかになる同胞の姿に、アレルヤの瞳が大きく見開かれた。
自分と同じように後ろ手に縛られたロックオンが、四肢を露わにし、コックリングを填められ淫らにも立ち上がった性器から先走りを垂らし、後孔にバイブをくわえ込んでいる。その様子を間近で見せつけられたアレルヤは困惑と怒りから激しく身をよじった。まるでこうなることがわかっていたかのようなアリーはアレルヤの裏膝を蹴り、床に膝をつかせる。
「ロックオン…あぁ、なんでこんな…っ」
心配げに顔を歪めたアレルヤがロックオンの名を呼ぶ。
アレルヤを連れてきた兵士にアリーが指示を出し、床に仰向けになっていたロックオンの身体を抱き起こした。
身体を起こす瞬間、バイブが中で位置を変え思わず上がりそうになる声をぐっと抑える。浅ましいこの身体を見てもまだ心配してくれるアレルヤの優しさが、今はただ痛かった。
引きずられるように膝立ちになったアレルヤの前まで連れて行かれ手を離される。床から視線を上げると、困惑したアレルヤと、早くしろと言わんばかりに顎でしゃくるアリーの姿。しかもご丁寧に、アレルヤのワンピースをたくし上げてくれた。もう、心を決めるしかない。
「……っ、何っ!? 」
驚き声を上げるアレルヤを下から見上げる。
「……すぐ、すませるから。……大人しく、してくれ」
「な、ロックオン!やめてくださいっ」
絞り出すように告げると、何をされるのかを理解したアレルヤが本気で制止の声を上げるのも構わず、アレルヤの性器を口に含む。
まだ反応していないそれは柔らかく、腕が使えないため両膝でうまくバランスをとって、まるでアレルヤの腹に顔を押しつけるようにして舌を這わせる。
もし無事に帰れたとしても、アレルヤとは今までと同じ関係は築けないかもしれない。懸命に舌を動かし、口淫を施してアレルヤが反応する程、がらがらと音を立てて今までの関係が崩れていく音がするようで、泣きたくなるほどの屈辱に身体が震えた。
でも、アレルヤが俺と同じ目に遭うくらいなら平気だ。こんなの、全然平気。
アレルヤが何か言っている声が聞こえる。じゅぷじゅぷと音を立てながら完全に勃起したアレルヤを、喉全体で扱き上げるように刺激してやると 目の前の形の良い腹筋が震える。男のモノを銜える事に抵抗が無かった訳じゃない、でも必要に迫られたら何とだってなる。
「やめて下さいロックオン!…っ……はっ、ロックオンっ」
耐えるようにひくひくと動き始めた腹筋にアレルヤの限界が近いことを悟り、疲れてきた顎と身体に鞭打って動きを早める。大きく前後運動をすると中のバイブがグチグチと場所を移動し、突起が内壁を嬲る。その刺激を律儀にも拾い上げる性器から、先走りが床へと糸を引き落ちていく。
「一生懸命銜えちゃってまぁ。」
快感にゆっくりと浸食されていく頭の中で、そんなに仲間が大事かね。そうアリーが呟くのが聞こえた。

「ロ、ックオッ……あ、…も、駄目だ…っは、で…で、る…!」
せっぱ詰まったアレルヤの声が聞こえたかと思うと、口内の性器が大きく震える気配がした。が、なけなしの理性でアレルヤが勢いよく腰を引いたため、口内で射精されることはなかった。その変わりに暖かい飛沫がクスリのためにとろんとしたロックオンの顔に、胸に、太股にと降り注ぐ。背徳に顔を歪めながらも射精の快感に呻くアレルヤの声と、身に降り注ぐ精液。
「あっ…は…………っは」
呼吸を乱しながら断続的に白濁を吐き出すアレルヤの姿を見上げ、我知らず、後孔がバイブを締め付けていた。
また、勃起した性器の先からつぅっと先走りが床へ落ちる。
「やれとは言ったけどよ…仲間の浴びて興奮したか?そんな水たまりが出来るほどガマン汁垂らして」
「……だ、まれ」
いつの間にかアレルヤから離れたアリーが、床片膝を付き、床に広がった先走りを指で円を描くようにして床へ塗りたくる。そしてそのまま矛先を変え、硬く勃起したままのロックオンの亀頭を指の腹で擦った。とたん、どぷりと溢れる先走り。
「あぁぁっ……はっ、んぁぁっ!」
アレルヤの前だと言うのに、ずっと触れられていなかった場所への刺激に身体はあられもなく悦びの声を上げ、背をしならせて白い喉を反らせる。その拍子に、アレルヤの性器がどろりと肌の上を滑り降りていった。その様子を眺めるアレルヤには、明らかに先程までとは違う色が混じり始めていたが、きつく目を閉じたロックオンには、その姿をアレルヤがどのような表情で見ているかなど知るよしもなかった。




「傑作だなぁ、オイ。ガンダムマイスターさんよぉ」
おかしくてたまらないと言うようにアリーが高らかに笑う。部屋にはその笑い声と、アレルヤの乱れた呼吸と、アレルヤの精液を浴びて身体を熱くする俺の浅い呼吸だけが響いていた。