ロックオン・ストラトスの受難
パイロットスーツ









宇宙での演習を終え、デュナメスをドックに入れてプトレマイオス船内に戻る。
つい最近支給されたパイロットスーツは、デュナメスと同じ色があしらわれている。しかも特注だけあって、躰にしっかりフィットして着心地が良いときた。場合によってはパイロットスーツのまま何十時間も待機することもあり得るため、着心地の善し悪しは大事なのだ。しかし、あまりにしっぱりフィットしすぎるため、ある程度伸縮するにせよ、これ以上太れないな とロックオンは己の腰回りに手を当てて思った。
ドックから船内に入るため、かなり上にある入り口へむけて床を蹴る。ふわりと浮いた躰が惰性で進み、目的の場所へとゆっくり躰を運んでいく。
…そんなロックオンの姿を見詰める男が一人。
(これは…拷問か何かかな。…ハレルヤ)
ロックオンと共に演習をしていた人物、アレルヤ・ハプティズムである。彼はロックオンに淡い恋心を抱いており、ロックオンもそれを容認していた。お互いが男な事もあり、外でベタベタとすることはなるべく避けているアレルヤだが(ロックオンが嫌がるので)彼も一応年頃の男。
いつものように気持をセーブしているとはいえ、目の前に想い人の姿があると言えば話は違う。
しかも、アレルヤからは丁度先をゆくロックオンのパイロットスーツに包まれた尻が、ハッキリと見えるのだ。
もう一度言おう、尻が、ハッキリと見えるのだ。
キュリオスから降りるのが遅れ、先に行ってしまったロックオンに追いつこうと床を蹴ったは良いが、目の前にこんなものを突きつけられては心中穏やかではない。しかも、一度目に付いてしまえば、そこから目を反らせないもので。いつもの私服でもどきりとすることがあるというのに…。
今までのパイロットスーツはダボダボしていて、若干余裕があり、特に気にすることも無かったのに…!
(これは…ヤバイだろう…?!いや、GJスメラギさん!)
無意識に握り拳をぎゅっと握り、特注パイロットスーツの発案者に賛辞を送るアレルヤ。
細すぎもせず、かといって余分なものの付いていないロックオンの躰をぴったりと包むスーツは、一見ストイックに見えて、そうではない。今まで衣服で隠されていた、ロックオンの尻が全面的に表に出ているのだ。よって、ロックオンが着る事によって、なんとも言えない色気を醸し出していた。

きゅっと締まったその尻を、鷲掴み揉んでやりたい。そんな願望がむくむくと頭を擡げ始める。一部の隙もなくパイロットスーツを着込んだ彼は、一体どのように反応してくれるのだろうか。
そんなことを考えている内に、彼は船内に入り脱衣スペースに入ってしまう。その後を追いながら、既に良からぬ妄想で頭がいっぱいのアレルヤが続いたのだった。
プトレマイオスの無機質な船内、シルバーの素材で作られた廊下と、扉、そして部屋。
温かさを全く感じない作りだが、やはり長く生活していると、その空間に入ると「帰ってきた」という気分になるから不思議だ。
先程ロックオンが入っていた脱衣スペースの扉を前にし、アレルヤは妄想を振り払うように頭を振る。
(彼は同僚。彼は同僚…こんな目で見てはいけない。落ち着け…落ち着け………)
気を落ち着けて、意を決して一歩を踏み出す。パーテーションの扉が小気味よい音を立てて開き、中の明かりが目を差し…
一番最初に目に入ってきたのは、やはり尻だった。
デュナメスの中で凝り固まった筋肉を解す為、ロックオンがロッカーに両手をつきアキレス腱を伸ばしていただけなのだが…。突き出された尻を包むパイロットスーツが室内の照明を受け、ぬらりと光り、反動をつけ腱を伸ばす動きで揺れる腰が…
アレルヤの理性は、音を立てて切れた。






「ちょっ…・何!?」
衝動的にロッカーに手をつき、ロックオンを抱き込むようにしてその尻に手を這わせる。当然、突然のことについていけないロックオンは驚きに体を起こす。それをそのままロッカーへ押し付け、開かれた股の間へ自らの足を割り込ませロッカーへ縫い付ける。
「アレルヤっ…何のつもりだ」
押し付けられたまま首だけを捻り、ロックオンが問う。同僚に尻をもまれる、と言う事にうっすらと赤く染まった頬。それを見せ付けられ、アレルヤはごくりと唾を飲んだ。
(エロいよ……ハレルヤ)
「あなたがいけないんですよ」
「はぁ? ちょ、揉むなって」
素っ頓狂な声を上げつつも、いやらしく尻を揉み続けるアレルヤに抗議するロックオン。
「あなたが誘惑するから…………ほら」
「あっ……こらっ アレルヤ!」
まったくもって誘惑したつもりのないロックオンだが、言葉と共に腰へ押し付けられた堅く熱い感触に腰を躍らせ、咎める様に名を呼ぶ。押し付けたまま腰を揺すると、ロックオンは耳を羞恥に赤く染め逃げようともがいた。いつの間にかロックオンの身長を追い越していた年下の男。頑強なその体に抱き、縫いとめられロックオン自身が動かせるところなど数少ない。
「誰がいつ、誘惑したって…いうんだよっ おい、離れ…ろ!」
俯きがちに羞恥に震える想い人を前にして、離れられるはずがない。どちらかというと、その姿に煽られさらに下半身が熱くなるくらいだ。ロックオンの腰に手を回し密着率を高め、スーツ越しに猛ったものをロックオンの後孔へ押し当て腰を振る。そしてもう片方の手で、ゆっくりと反応を示し始めた性器へと手を這わせた。
スーツ越しだからと、多少強めに刺激すると、スーツの中で窮屈そうに育っていくソレ。
「はっ………あっ、く………やめっ」
切なそうに息を漏らすロックオン。形をなぞる様に指先でたどれば、カリの部分に触れた瞬間ロックオンの腰が快感に引かれ、アレルヤが押し付けていた昂りを圧迫されて思わず呻いた。
「くっ……協力、的………ですね?」
「ち、ちがっ」
お互いいつもと違うシチュエーションに興奮しているのか、ロックオンの前はやめろ、とめろと言いながらも完全に立ち上がっていった。スーツ越しなので濡れはしないが、おそらく中は先走りでぐしょぐしょに違いない。スーツが性器の形に浮き上がる様…。全裸でコトをなすよりも、着てするよりも
(エロすぎる……)
まるで挿入しているかの激しさで腰を揺らすと、ロックオンの体が前後にゆれ色素の薄い髪が散る。
ちらりと見えた白い項に衝動を抑えきれずに噛み付く。歯を立て味わうように啜るとロックオンの体が大きく揺れ、声を噛み殺すために口に手を当てる。その姿がまたなんとも言えずいやらしく、アレルヤは我知らず喉を鳴らした。
「はっ……んっ、も、やめろっ」
「なぜです?」
途切れ途切れに静止を呼びかける声に問いを投げる。本当は言わずとも、スーツ越しに手の中で十分に成長したロックオンのものと、定期的に耐える様に痙攣する太腿の動きでわかっている。くっきりと浮き立ったカリと亀頭を形を確認するように指でたどる。
「あぁぁっ!!…くっ……アレ…、アレルヤッ」
そのまま這わせた指で全体をつかみ、中で溢れた先走りで少し動く余裕のできたスーツごと激しく扱いてやる。ロックオンに押し当てた自分がこれだけ気持ちいいのだから、彼も同じくらいの快感を得るに違いない。後ろから少し首を伸ばし確認すると、予想通り彼は襲ってきた快感に声をかみ殺すこともできず、甲高い声を上げて身を震わせていた。
「あ、あ、あっ!…・うぁっ…はぁ、は、んっ!」
「スーツ越しに扱かれて、そんなに気持ちいいんですか?」
後孔を抉る様に腰を寄せ耳元で揶揄する言葉をゆっくりと囁けば、彼は耳を真っ赤にして首を振る。それでも顕著に現れた快感の証は隠すことはできない。追い詰めるように徐々にスピードを上げていくと、彼が耐え切れないとばかりに声を上げた。
「も、むり…っ!ひぁっ……だ、駄目だ…あぁぁあっ!…出、るから…はぁぁあっ!!」
どうやら、スーツの中に出してしまうのが嫌らしい。ここまできてそんなことを気遣う彼の余裕が憎らしい。
でもそんな、耐えながらも快感に流されてしまう姿はいつもの彼からは想像もつかないほどに、妖艶だ。
出したいなら、出してしまえばいい。
「うん、出して」
ぐっと反ったその耳朶に舌を這わせ舐め上げながら、男なら誰でも弱い鈴口に親指をつきたてた。
瞬間、限界まで反り返る体。
「はっ ------- ひぁぁぁあっ!!………あ、はっ…んぅ…」
いっそう高い声を上げ、嫌がっていたスーツの中に放つロックオン。数度に分けて吐き出されるそれに合わせて腰が震え、余韻から声が漏れた。ぴったりと密着したスーツの中へ放たれる精液は生暖かく、行き場をなくし中で広がっていく。
ぐったりと脱力してアレルヤにもたれ掛かる、アレルヤは生理現象とはいえ年上の想い人が甘えるような仕草をしてくることがうれしく、その体を優しく抱きしめた。
この人は、もう少し人に甘えても良いと思う。強がりとは違うけれど、いつも笑顔で、何もかも一人で抱えてしまう。
自分がこの人よりも年上だったらあるいは、と何度考えたことだろう。
「気持ち、よかったですか…?」
「なっ…」
アレルヤが声を掛けたことにより射精の余韻から引き戻されたロックオンは、一瞬にして顔と耳を真っ赤にし俯く。きっと彼は、粗相をしてしまったような羞恥心に襲われているに違いない。
(あぁ……ホント、やらしい人だよ)
規則正しくロッカーが並ぶ脱衣室に取り付けられたデジタル時計に目を走らせる。
まだまだ、他の使用者がくる時間ではない。刹那もティエリアも、別の工程で手一杯のはずだ。
俯く彼のパイロットスーツに手を伸ばし襟首を開ける。急に脱がされ始めたことに彼はやっぱり抗議の声をあげた。
「お前っ 俺は嫌だからな!…い、今だって…っ」
言い淀むあなたが可愛い。でもね?
「ロックオン。僕はまだ、イってません」
にこりと笑いながら、臨戦態勢のそれを先ほどと同じように押し付ける。
今までの情交で、何度も泣かされてきたロックオンは、この先訪れる快楽地獄に顔を引きつらせたのだった。


























兄貴のパイスー尻は、けしからん。